「社会参加オープナー」は、社会課題の解決に向けて日々活動する非営利団体とプロボノワーカーや地域のボランティアとの「つなぎ手」です。
2023年からサービスグラントが実施する「社会参加オープナー養成講座」は、プロボノとして団体の課題解決に参画する取り組みを超えて、団体と外部との新たな出会いをうみだす「つなぎ手」として関わるためのプログラムとなっています。これまでに83名が受講を修了し、15名の「社会参加オープナー」認定が生まれました。(2025年9月末時点)
認定者お二人の事例から、社会参加オープナーの魅力とこれからの可能性をお伝えします。
※社会課題解決と新たな担い手の参加機会創出を同時に実現する「社会参加オープナー」養成プログラム
2023年からサービスグラントが実施する「社会参加オープナー養成講座」は、プロボノとして団体の課題解決に参画する取り組みを超えて、団体と外部との新たな出会いをうみだす「つなぎ手」として関わるためのプログラムとなっています。これまでに83名が受講を修了し、15名の「社会参加オープナー」認定が生まれました。(2025年9月末時点)
認定者お二人の事例から、社会参加オープナーの魅力とこれからの可能性をお伝えします。
※社会課題解決と新たな担い手の参加機会創出を同時に実現する「社会参加オープナー」養成プログラム
プロボノワーカーから「社会参加オープナー」へ
佐藤淑子さん(以下、佐藤):人材派遣会社の勤務を経て、フリーランスのキャリアコンサルタントをしています。川崎市宮前区が最寄りの地域で、コミュニティガーデンのお手入れを行う市民団体の活動を神奈川新聞の市民記者として紹介するなどの経験があります。プロボノプロジェクトへの参加を経て社会参加オープナー養成プログラムに参加。認定後は身近な地域の団体のプロジェクトに伴走してきました。
前田 博さん(以下、前田):現在は名古屋在住、企業でシステム開発やサービスサポート、商品企画など、幅広い業務を経験してきました。勤務先とサービスグラントが協働したプロボノプロジェクトに参加の機会があり、事業計画立案などのプロジェクトを経験後に社会参加オープナー養成プログラムに参加。助成金獲得のためのドキュメント作成や団体へのよくある問い合わせドキュメント作成のプロジェクトに伴走してきました。
参考:サービスグラントとは / 企業との取り組み
前田 博さん(以下、前田):現在は名古屋在住、企業でシステム開発やサービスサポート、商品企画など、幅広い業務を経験してきました。勤務先とサービスグラントが協働したプロボノプロジェクトに参加の機会があり、事業計画立案などのプロジェクトを経験後に社会参加オープナー養成プログラムに参加。助成金獲得のためのドキュメント作成や団体へのよくある問い合わせドキュメント作成のプロジェクトに伴走してきました。
参考:サービスグラントとは / 企業との取り組み
「社会参加オープナー養成プログラム」参加のきっかけ
社会参加オープナーの立ち位置
佐藤:私はもともとプロボノプロジェクトに参加して、プロボノのしくみ自体がとても素晴らしいと思っていました。もっと世の中に広まるといいなと感じていて、実際にプロジェクトに参加していくうちに自然と惹かれていったんです。
養成プログラムへの関心として特にきっかけとなったのは、個人的にGRANT活用を地元の知り合いにおすすめしたことでした。団体の課題を整理し、プロボノワーカーの募集を考える過程で、自分がワーカーとして関わるほかに「コーディネート」という役割に関心を持つようになりました。
キャリアコンサルタントの仕事柄、漠然とした課題を整理することや、課題の本質を考える習慣がついていたことも大きいです。団体と人をつなぐ、マッチングする、といったことが自然な思考でした。
前田:私はいろいろなプロボノプロジェクト、特に半年程度の長期のプロジェクトに参加していました。そんななかでサービスグラントのスタッフから、当時住んでいた関西で「社会参加オープナー」の講座が開催されると聞いて、「行ってみようか」と気軽な気持ちで参加しました。
「社会参加オープナー養成プログラム」受講から認定を振り返って
社会参加オープナー 受講から認定までのプロセス
佐藤:ちょうどそのころ、いくつかの団体のコーディネーター的な立ち位置で活動していました。毎回コーディネートの方法が異なる状態、かかわり方も団体ごとにさまざまでした。そのような手探りのコーディネーター経験を経て、社会参加オープナー養成講座でノウハウを体系的に学べたことは大きかったと思います。
映像視聴の基礎講座では、非営利団体と企業の違いなど、実はあまりわかっていなかった知識にも触れることもでき、とても学びがありました。それまでは企業の感覚で団体に接していた姿勢を見直すきっかけにもなりました。
何より、自分が興味のあった「コーディネート」という分野が、実は社会から求められていたんだ、という点は嬉しかったです。
前田:講座の受講後は実践として、団体が新たな担い手を募集する記事の掲載から、プロジェクトの伴走までを経験しました。印象的だったのは、団体が本当に求めているものを言葉にして、募集記事にする過程です。課題をかかえているソーシャルセクターと、何か自分も手伝いたいと想いを持っている企業人の意識をあわせる過程に可能性を感じました。
助成金獲得のためのドキュメント作成プロジェクトに伴走しましたが、企業勤務の経験と似ている場面もありました。「あの人につながったらお話がまとまるかも」と思ったときに、「どんな言葉で伝えたら興味を持ってもらえるか」を考える時って、企業人なら仕事のなかでよくあると思うんです。
プロジェクトは、課題整理や見える化が得意なプロボノワーカーの方に手をあげていただき、スムーズに終了しました。プロジェクト終了後にワーカーさんにヒアリングさせていただいたんですが「団体が求めていること、成果物が募集記事の段階でスッキリわかったので手をあげた。成果物にむかって最短距離で進むことができ、団体の方に喜んでいただいた」とお聞きしました。
様々な立場の人でも目線あわせができる言葉えらび、募集記事のつくり方があるんだと実感したのが印象に残っています。
映像視聴の基礎講座では、非営利団体と企業の違いなど、実はあまりわかっていなかった知識にも触れることもでき、とても学びがありました。それまでは企業の感覚で団体に接していた姿勢を見直すきっかけにもなりました。
何より、自分が興味のあった「コーディネート」という分野が、実は社会から求められていたんだ、という点は嬉しかったです。
前田:講座の受講後は実践として、団体が新たな担い手を募集する記事の掲載から、プロジェクトの伴走までを経験しました。印象的だったのは、団体が本当に求めているものを言葉にして、募集記事にする過程です。課題をかかえているソーシャルセクターと、何か自分も手伝いたいと想いを持っている企業人の意識をあわせる過程に可能性を感じました。
助成金獲得のためのドキュメント作成プロジェクトに伴走しましたが、企業勤務の経験と似ている場面もありました。「あの人につながったらお話がまとまるかも」と思ったときに、「どんな言葉で伝えたら興味を持ってもらえるか」を考える時って、企業人なら仕事のなかでよくあると思うんです。
プロジェクトは、課題整理や見える化が得意なプロボノワーカーの方に手をあげていただき、スムーズに終了しました。プロジェクト終了後にワーカーさんにヒアリングさせていただいたんですが「団体が求めていること、成果物が募集記事の段階でスッキリわかったので手をあげた。成果物にむかって最短距離で進むことができ、団体の方に喜んでいただいた」とお聞きしました。
様々な立場の人でも目線あわせができる言葉えらび、募集記事のつくり方があるんだと実感したのが印象に残っています。
コーディネートの実践過程で苦労したこと・気づき
前田:募集記事作成の際、見方によって違う解釈のありそうな言葉は使わないほうがよい感覚があります。受け取り方によって意図がずれてしまうことがあるので、相手にとってわかりやすい表現を意識するようにしました。
佐藤:私は、団体からの依頼を受けてプロジェクトのお話をまとめる中で、団体の内部で議論が深まったり、課題の方向性が見えてきたりする場面に立ち会えました。それが大変でもあり、同時に面白いと感じました。
たとえば広報物をつくりたいというご希望からスタートしたお話が、掲載内容を考えるなかで団体メンバーの皆さんそれぞれがいだく方向性の違いから、議論になったこともありました。プロジェクトの終了時、成果物に喜んでいただいたのはもちろんですが、「そもそもの議論自体がよかった。お互いの考えを知るきっかけになった」という感想をいただきました。
依頼の成果物以上に、団体にとっての気づきや共通認識づくりにつながったのは嬉しかったですし、コーディネートしてよかったなと思いました。
佐藤:私は、団体からの依頼を受けてプロジェクトのお話をまとめる中で、団体の内部で議論が深まったり、課題の方向性が見えてきたりする場面に立ち会えました。それが大変でもあり、同時に面白いと感じました。
たとえば広報物をつくりたいというご希望からスタートしたお話が、掲載内容を考えるなかで団体メンバーの皆さんそれぞれがいだく方向性の違いから、議論になったこともありました。プロジェクトの終了時、成果物に喜んでいただいたのはもちろんですが、「そもそもの議論自体がよかった。お互いの考えを知るきっかけになった」という感想をいただきました。
依頼の成果物以上に、団体にとっての気づきや共通認識づくりにつながったのは嬉しかったですし、コーディネートしてよかったなと思いました。
社会参加オープナー認定後の活動について
前田:社会参加オープナーの活動に面白さを感じて、もう少しやってみようという気持ちでいたので、過去のプロボノプロジェクト支援先の団体に、伴走のお手伝いができないか声をかけたりしていました。そのようなタイミングで受講生コミュニティに「この団体のコーディネートをどなたか担当しませんか」と呼びかけがあって、手をあげました。
GRANTでのコーディネートの結果、プロジェクト終了後に団体から「期待以上の成果物だった」とお聞きし、経験を活かせたと思います。
参考:社会参加オープナープロフィール(ぜんちゃんさん)
佐藤:私は地域での活動を中心に続けています。やはり地元の団体を応援したい想いが根底にあるからです。団体に説明をしても「外部の人にお願いするのは…」と躊躇されることも少なくありません。団体の活動に参加しながら関係性をつくって、自分にできる関わり方を模索しているところです。
最初にコーディネートをした団体の方が「すごくよかった」と事例を口コミで伝えた先からお声をかけていただくこともあり、ラッキーだなと思います。地域のつながりをこれからも大切にしていきたいです。
参考:社会参加オープナープロフィール(yoshikoさん)
GRANTでのコーディネートの結果、プロジェクト終了後に団体から「期待以上の成果物だった」とお聞きし、経験を活かせたと思います。
参考:社会参加オープナープロフィール(ぜんちゃんさん)
佐藤:私は地域での活動を中心に続けています。やはり地元の団体を応援したい想いが根底にあるからです。団体に説明をしても「外部の人にお願いするのは…」と躊躇されることも少なくありません。団体の活動に参加しながら関係性をつくって、自分にできる関わり方を模索しているところです。
最初にコーディネートをした団体の方が「すごくよかった」と事例を口コミで伝えた先からお声をかけていただくこともあり、ラッキーだなと思います。地域のつながりをこれからも大切にしていきたいです。
参考:社会参加オープナープロフィール(yoshikoさん)
「社会参加オープナー」として今後取り組みたいこと&スタンス
佐藤:やはりプロボノのしくみを広めたい、そのための認知度アップの方法を考え続けているところです。まず団体と信頼関係を築いたうえでプロジェクト化に進むことで、継続性や成果が生まれると感じています。その姿勢を大事にしていきたいです。
前田:今住んでいる名古屋の中間支援組織の方にお話をうかがうと、「地域の課題を住んでいる自分たちで解決したい」と願っておられる方が多いと感じています。GRANTのようなプラットフォームを地域のみなさんに紹介しながら、プロボノが身近でない地域に私自身もどう関わっていけるか考えていきたいです。
前田:今住んでいる名古屋の中間支援組織の方にお話をうかがうと、「地域の課題を住んでいる自分たちで解決したい」と願っておられる方が多いと感じています。GRANTのようなプラットフォームを地域のみなさんに紹介しながら、プロボノが身近でない地域に私自身もどう関わっていけるか考えていきたいです。